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リサイクル可能、透明化しやすい包装用紙

サンカヨウ

開発の考え方

地球温暖化やマイクロプラスチックの問題から、石油由来のプラスチックを「紙」で代替する製品開発が進められています。
当社は、脱プラスチックを図る製品が「燃えるゴミ」ではなく積極的にリサイクルされることを願い、
プラスチックの特性を付与してもなお、リサイクルできるようにすることを念頭に製品開発を進めています。

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サンカヨウ開発の概要

プラスチックの包装材を紙で代替する 様々な商品が開発される中で紙を透明にしたいという想いが多く寄せられています。しかし、紙を透明にすることは難しく、透明なプラスチックフィルムを貼り合わせた製品はリサイクルしにくいという問題がありました。
そこで、雨に濡れると白い花が透明になる「山荷葉・サンカヨウ」の花をヒントに、紙のパルプ配合や抄造条件にとどまらず、樹脂の最適化も検討し、リサイクル可能で透明化しやすい包装用紙の開発に成功しました。

水に濡れた山荷葉の花

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サンカヨウの特徴

開発した透明化しやすい包装用紙を、その開発経緯から“サンカヨウ”と名付けました。樹脂塗工で透明窓を作製する場合、 “サンカヨウ”を用いると、従来の紙では40%以上必要だった樹脂率(樹脂量/(原紙+樹脂量))を30%に減らしても同等以上の透明性を示し、少ない樹脂率でグラシン紙よりも透明化できることが確認できました(写真1、表1)。リサイクル性は、禁忌品とされている従来紙の樹脂塗工品に比較して樹脂率が低いことと使用原紙の特徴から板紙へのリサイクルが可能です(写真2)。

写真1:グラシン紙とサンカヨウに樹脂分を塗布したものとの透明性比較

写真2:透明化処理品のリサイクル性比較

表1:サンカヨウの物性
(サンカヨウには50、60、70、80、100g/㎡の品揃えがあります。)

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サンカヨウによる製品開発

“サンカヨウ”を使用して透明窓を持つ紙製封筒を、株式会社イムラ殿では“紙エール”と命名して商品化しました。これは王子ネピアの“ネピア鼻セレブマスク”のパッケージや紙ファイル、アパレル用品へ展開されています。株式会社イムラ殿が加工された製品は、2024年日本文具大賞サステナブル部門優秀賞と、2024年 日本パッケージングコンテスト・ジャパンスター賞・経済産業大臣賞(出品会社:日本紙パルプ商事株式会社)、同 日本貿易振興機構理事長賞(出品会社:株式会社イムラ)を受賞しています。

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今後の課題と展望

王子マテリアでは、透明化に関して様々な印刷方式への対応を検討するとともに、透明化樹脂を木材由来のバイオ樹脂に転換してさらに透明性を高める研究を進めています。これらについては2025年度中の上市を目指して対応可能なコンバーター様へのご紹介と検討をしています。できるところから実効性のある環境対応を進めるため、今後もサステナブルでリサイクル可能な「紙」を活用した製品開発を進めてまいります。